過重労働ため体調を崩し、退職を決意。退職を機に残業代を請求し、弁護士の交渉により約450万円を得た

  • cases796
  • 2023年06月01日更新
男性
  • 50代
  • 男性
  • 小売業(ファッション・アパレル関連)
  • 残業代請求
  • 交渉
  • 小売業
  • ■職業(雇用形態) 正社員
  • ■解決結果 交渉で、解決金450万円を得て解決

ご相談に至った経緯

Aさんは、とある会社Bに所属し、長年勤務を続けていました。
B社は、Aさんに対して、過重な時間外労働をさせ、結果としてAさんは体調を崩して、欠勤が続くようになってしまいました。

B社は、Aさんに対して、残業代を支払ったことはなく、Aさんは、勤務中にそのことを言い出せずにいました。
Aさんは、過重労働のせいで体調を崩したことから、これ以上は勤務を続けることが難しいと考え、退社を検討するとともに、残業代の支払ができないか、弁護士に相談しようと思いました。

ご相談内容

Aさんは、弁護士に次のような相談をしました。

①本件で、残業代の請求をすることはできるか。
②本件で、残業代を請求するにあたって、問題となることはどのようなことがあるか。

弁護士は、次のような回答をしました。

■①について
Aさんは、長年にわたって、早朝から夜間まで、週5日程度勤務していました。
また、会社の都合で、休憩時間もなく、休日の出勤を強いられることもあったとのことでした。そのため、Aさんの勤務時間は、1日8時間、週40時間を超えていることが伺えました。もっとも、相談段階では、後記の問題点の関係がありましたので、具体的に、残業代をいくら請求できるかまではわかりませんでした。


■②について
本件では、残業代の支払が全くなされていませんでしたので、

【A】証拠上、労働時間がどれくらいあったといえるか
【B】法律上、残業代を支払わなくてよい場合に該当するか

の2点が問題となりました。

まず、【A】については、B社では、勤怠管理システムが導入されていましたので、その記録を取り付けることができれば、それに基づいて、ある程度、労働時間を認定することができると考えられました。
他方で、Aさんは、勤怠管理システムを使わずに勤務をすることや、本来は休憩時間とされている時間に勤務することもあったとのことでしたので、こうした記録のない部分については労働時間を立証できるかは不透明と言わざるを得ませんでした。

【B】については、管理監督者性が認められるかを検討しなければならず、この点についても、相談段階では不透明さを排除しきれませんでした。

ベリーベストの対応とその結果

弁護士は、上記の相談段階での見立てと弁護士費用の内容を、できるだけわかりやすくAさんに伝えました。
Aさんは、弁護士に労働審判手続(労働事件のための、簡易迅速な裁判手続)を委任しました。

弁護士は、労働審判申立の準備を行うために、B社及びB社の代理人弁護士に、残業代の支払請求をすることを伝えるとともに、勤怠管理システムの記録を開示するように依頼しました。

B社は、弁護士に対して勤怠管理システムの記録を開示しました。Aさんは、勤怠管理システムに記録のない時間も働いていたと言っていましたので、弁護士は、勤怠管理システムの記録と、Aさんの記憶に基づいて、残業代の金額を計算しました。

弁護士は、残業代の金額計算後、B社に対して、残業代として約900万円を請求すると通知しました。

B社は、当初、できるだけ金額を引き下げようと交渉しましたが、最終的に、450万円の金額を提示し、Aさんもこれに納得したため、労働審判手続を経ることなく、交渉で解決することになりました。
当初は、労働審判手続を予定していましたが、より早期での解決を図ることができたものです。


■解決のポイント
✓紛争解決の迅速さ
✓法的手続に移行した場合のリスク
✓金銭的利益の程度のバランス

を加味して、交渉を進めることとなりました。

本件では、証拠により裏付けられた労働時間と、そうでない労働時間が混在しており、仮に労働審判手続や、訴訟手続に移行した場合には、労働時間の一部が認められないリスクがありました。

また、管理監督者性についても、多数の裁判例があるところではありますが、労働審判手続、訴訟手続に移行した場合、管理監督者性が認められ、B社に残業代の支払義務が一切ない(残業代の請求が全く認められない)とされるリスクもありました。

B社が、勤怠管理システムの記録を開示し、一定額の解決金額を提示するなど、誠実な交渉対応を行ったこともあり、早期の解決を実現することができたものと評価できます。

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