残業代を支払わないだけでなく、請求を取り下げなければ退職金の支給もしないと主張する会社と裁判!500万円の残業代を獲得

  • cases695
  • 2021年11月22日更新
男性
  • 50代
  • 男性
  • 小売業(卸売り関連・管理職)
  • 残業代
  • 管理職
  • 裁判
  • 小売業
  • ■職業(雇用形態) 正社員
  • ■解決結果 訴訟で主張がほぼ全面的に認められ、500万円の残業代を得た

ご相談に至った経緯

Aさんは、卸売市場で海産物を販売する会社で勤務をしていましたが、現場を顧みない会社の体制や、長時間労働を要求しているにもかかわらず残業代金を支払わない会社に見切りをつけ、退職を決意しました。
退職にあたって、残業代金の請求が可能か、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

ご相談内容

Aさんのご相談のポイントは、

①残業代の回収可能性と金額
②請求方法

の2点でした。

・残業代の計算をするにあたってどういった証拠が必要になるのか
・いつから証拠を集めたらいいのか
・当事務所に依頼したらいつからどのように請求をしていくのか

を、ご相談いただきました。

ベリーベストの対応とその結果

■証拠集め・通知書の発送


ご相談いただいた当日にAさんから勤務状況を詳しく伺い、請求可能な残業代の概算を算出しました。
また、会社がどのように労働時間を管理しているのかご質問をしたところ、毎日日報を作成しており、日報には出勤時間と退勤時間が記載されていることがわかりました。

その時点ではAさんはまだ在職中でしたので、できる範囲で退職予定日から遡って2年間分の日報の写しをご取得いただくようにお伝えしました。
残業代請求においては労働時間が争いになることが多く、弁護士から請求書を送った後では重要な証拠である日報が手に入らなくなってしまう可能性があると考えたためです。

その後、当事務所とご契約いただいた後もすぐには会社に連絡をせず、Aさんが退職の意思を会社に伝え、有給休暇の消化時期に入った後に当事務所から会社へ通知書を発送しました。
在職中に会社に通知書を送ることもありますが、社内で噂になるなど辛い思いをされることもありますので、Aさんのご希望を伺ってこのタイミングで通知書を発送しました。

■会社側と交渉を行うも、決裂。裁判へ


会社からは残業代金を支払わないだけでなく、請求を取り下げなければ退職金の支給も取りやめる旨の回答がありました。
会社の主張は当然法的な根拠がないものですから、すぐに会社とアポイントを取って弁護士が会社の取締役と交渉をしました。交渉の場においても、会社は明確な根拠を提示しないまま支払いを拒み、退職金の支払いを留保する立場を維持したため、早急に裁判手続を取る旨伝えて交渉は決裂となりました。

■裁判での弁護士の対応


その後、Aさんと打ち合わせをしたうえで裁判所に訴訟提起をしました。
会社側は、Aさんが脅しに屈しないことを理解して退職金の支払いをしてきましたが、依然として残業代金の支払いはありませんでした。

裁判で会社側は、
①Aさんは仕事もさぼっていたり早く帰宅していたため残業をしていない
②Aさんが社内のある部署で責任者を勤めており、残業代を支払う必要がない管理監督者に該当する

と言った主張を展開してきました。

これに対し弁護士は、以下の対応を行いました。
①事前に入手していた日報を裁判所に提出したうえで、Aさんの1日の仕事内容を詳細に説明する書面を提出しました。
②また、Aさんは責任者ではあるものの、裁判例の傾向からすれば管理監督者と認められる勤務実態ではありませんでしたので、こちらもAさんと打ち合わせをした上で証拠を準備し、裁判所に提出しました。


■裁判の結果


その結果、裁判所は一部の争点を除いてAさん側の主張を全面的に採用し、会社がAさんに対して500万円以上の残業代を支払う内容の和解案を提示しました。
最初は一切の支払いを拒んでいた会社も、弁護士を通じて主張した内容がことごとく裁判所に否定されたこともあり、裁判所の和解案に応じる旨の回答がありました。

Aさんとしては、会社が支払いを拒んだ時点で本当に回収できるのか不安を感じられていましたが、最終的には高額回収の結果となり、非常に喜んでいただきました。
着手金が無料であることも裁判をご決心いただく後押しになったのではないかと思います。

全国の各オフィスから寄せられた解決事例をご紹介しております。(※ベリーベスト法律事務所全体の解決事例となっています)