横領の疑いで懲戒解雇されそうに…裁判で有利な条件で解決!

  • cases537
  • 2018年01月15日更新
男性
  • 40代
  • 男性
  • 運送業/運転手(正社員)
  • 不当解雇
  • 裁判
  • ■解決結果 8ヶ月分の賃金を支払い合意退職で和解

ご相談に至った経緯

中嶋さん(仮名)は民間のバス会社の正社員で、バスの運転手の仕事をしています。10年間真面目に勤めてきており、これまで特にトラブルはありませんでした。

しかし、ある日突然、中嶋さんは営業所長に呼び出されました。

営業所長からは、「前にウチの会社に勤めていた田中さん(仮名)に聞いたんだけど、君、バスの料金を着服しているんだってね。」という信じられない言葉を告げられました。

中嶋さんは、「そんなはずないじゃないですか。」と否定したものの、営業所長は「いや、もう分かっているんだ。」と聞く耳を持ってくれません。

その日の話し合いが終わった後も、営業所長からは事あるごとに「今日もまたお客さんからもらった運賃、使っちゃったんでしょ」などと、嫌がらせのような言葉を中嶋さんは受け続けました。

さらに、営業所中でこのことが噂になり、中嶋さんは居場所を無くしてしまった上、会社から自宅待機を命じられてしまいました。

その後、ついに中嶋さんは社長のところへ呼び出され、社長と営業所長から、「素直に認めたらどうだ。素直に認めるのなら、転職活動の際に、転職先から問い合わせが来ても余計なことは言わないでおいてやる。」と威圧的に言われ続け、精神的にもひどく参っていた中嶋さんは、「そうですね…自分も悪いところがあったかもしれませんね…」と言ってしまいました。

その数日後、会社から中嶋さんの自宅へ、懲戒解雇の通知が来ました。

しかし、自分は何も悪いことをしていないのだから、やはりおかしいと考えた中嶋さんは、解雇通知から数日後、弁護士のところへ相談に行きました。

ベリーベストの対応とその結果

弁護士からは、横領という事実が無いのであれば、懲戒解雇は当然不当なものであるというアドバイスを受けました。

会社の扱いに納得のいかなかった中嶋さんは、弁護士に依頼して解雇が不当であることを主張することに決めました。

弁護士は会社に対して、懲戒解雇が不当なものであり、無効である以上、中嶋さんを現場に直ちに復帰させること、解雇通知後の未払い賃金を支払うことを請求する通知書を、内容証明郵便で発送しました。

約1ヶ月後、会社の代理人弁護士から回答書が届きましたが、回答書の内容は、横領の事実は、中嶋さん自身も念書をもって認めている以上明らかであり、懲戒解雇は有効である、というものでした。

その後、弁護士間でやりとりがされましたが、話し合いに折り合いはつきそうにありませんでした。

そこで、弁護士は中嶋さんと協議した上で、話し合いをする労働審判ではなく、訴訟(裁判)を起こすことにしました。

訴訟になった後は、弁護士が中嶋さんとの打ち合わせを踏まえて、今回の懲戒解雇がいかに不当なものであるかを説得的に書面に記載し、裁判所と相手方へ提出してくれました。

会社側の弁護士からは、中嶋さんが運転手を務めていたバスの売り上げが、他の運転手が担当するバスの売り上げよりも不自然に低いこと、元従業員の田中さんが中嶋さんから料金着服の話を聞いたこと、中嶋さん自身も「悪いところがあった。」と言って、横領の事実を認めたことなどが主張されました。

これに対しては、弁護士が、バスはそれぞれ異なるルートを通る以上、バスの売り上げに差が生じるのは当然であること、田中さんが聞いたという着服の話の内容は極めて曖昧であること、中嶋さんは横領を認めたわけではないし、「悪いところがあった」と言ったのも脅されたためであること、などの反論をしました。

その後、営業所長や田中さん、中嶋さんの証人尋問が予定されていましたが、裁判官から、「尋問をしてみるまではっきりとは言えないが、今回の件で懲戒解雇を有効と認めることはおそらく難しい。」という心証の開示がありました。

すると、尋問に入る前に、会社側の弁護士から和解の提案がありました。
その後、弁護士間で何度かやりとりがなされ、中嶋さんの意向も聞いた上で、8ヶ月分の賃金を支払うことで、合意退職するという和解が成立し、裁判は終了しました。

中嶋さんは会社を去ることにはなりましたが、会社から金銭の支払いを受けることができました。

また、裁判の場で自分の言いたいことを主張できたので、解雇の通告を受けた直後に比べると、中嶋さんはすっきりした気持ちになることができたので、泣き寝入りをしなくて良かったと思えたのでした。

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