共有不動産の売買に関する相談事例

  • CASE820
  • 2023年11月14日更新
  • 法人
  • 共有不動産
  • 不動産業

ご相談内容

A社は不動産業を営む会社でしたが、相続の発生により共有となった不動産を購入する場合に、問題点がないか検討していました。
相続人の中に不動産売却に反対している相続人がいたため、不動産売却に賛成している相続人だけから共有持分を購入することを考えていたためです。
A社の懸念点は、以下の2点でした。

・そもそも相続人から共有持分を買い取ることができるのか
・買い取った後の売却が可能なのか

また、併せて共有持分に抵当権を設定することは可能かという相談もあり、当事務所へ相談へ来られました。

ベリーベストの対応とその結果

A社からの相談を受けて、ベリーベストは次のようなアドバイスをしました。
まず、現状は相続が発生しただけで遺産分割協議がなされていないため、相続によって不動産売却に賛成している相続人が、不動産の共有持分をどのような割合で相続するか未定であり、その相続人から法定相続分にしたがった共有持分を今購入したとしても、相続特有の問題(たとえば、寄与分や特別受益等)により、相続割合が変動するリスクがあるので、思ったとおりの共有持分を取得できないかもしれないことをアドバイスしました。

そして、上記リスクについては、登記を取得することによってA社が第三者として保護される立場になることはできるものの、相続人が実際に相続していない部分の持分を売却していたと判断された場合には、その部分の持分の売却は無効となると説明しました。

次に、共有持分の売却は法律的には可能であるものの、不動産の共有持分だけを持っている者ができることは限られてしまう(たとえば、不動産売却に反対している相続人が不動産に居座っても立ち退きを要求することができない等)ため、購入者が現れにくいというリスクを説明しました。
また、共有持分に抵当権を設定することは可能であるものの、担保価値は著しく低いため、共有持分に抵当権を設定してお金を貸してくれる銀行はほとんどないという事実もアドバイスしました。

A社はベリーベストからのアドバイスを受けて、リスクを避けるために、共有不動産の一部の持分のみを購入することは見送られました。

解決のポイント

本件の相談のポイントは、共有持分の購入売却が法律的に可能か否かという点だけでなく、共有持分のみを担保として銀行から資金を借りることが難しい点や、共有持分のみを購入しようとする第三者は少ないという点など、現実的なアドバイスをもすることができた点だったかと思います。
法律的なアドバイスのみでなく、これまでの事例や経験則に基づいてアドバイスすることができたことで、お客さまのニーズを捉えることができた事例でした。

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