遺言書が残されず、不動産相続で問題となった事案

  • cases530
  • 2018年06月04日更新
  • 遺産分割調停
  • ■被相続人との関係 被相続人の子
  • ■相続人 依頼者、兄、弟
  • 相続財産 土地建物5000万円相当

ご相談内容

Aさんは、昨年亡くなった母(Bさん)の遺産のことで、ベリーベスト法律事務所に相談しました。
Bさんの相続人は、Aさんの他、Aさんの兄であるCさん、弟のDさんがいます。Bさんの遺産には、土地建物(5000万円相当)があります。この土地建物には、Bさんが生前、Cさんと同居していました。Bさんは遺言書を残さなかったので、遺産分割のことを兄弟で話し合うことになりました。しかし、兄のCさんは「俺が長男だから俺が相続する。お前たちは相続放棄をしてくれ。」との一点張りでした。Aさんは、信頼していた兄との遺産分割協議に耐えかねて、どうすればよいかわからないということでベリーベスト法律事務所に相談にいらっしゃいました。

ベリーベストの対応とその結果

遺産分割に関する事情を弁護士が聞くと、Aさんは、「確かに、兄には母の面倒を見てもらって世話になった部分もあります。しかし、私や弟を締め出して母の財産を独り占めしようとしているのは、納得できません。」と弁護士に相談してくれました。

Aさんの相談に対して弁護士は、「土地建物をどうにかして兄弟3名で分ける必要があります。土地建物についてどのようにしたいか希望はありますか」と尋ねました。
Aさんは「名義は兄にしてあげてもいいが、その代わりにお金を支払ってもらいたい」と回答しました。

このAさんの回答に対して弁護士は、「対価を受け取るという方法は、請求する人の側から申し出できません。土地建物を現物で分割したり、兄弟3人の共有名義にすることも考えられますし、売却して換金してからその売却代金を分割する方法も考えられます。この点はCさんやDさんと協議をしていきましょう」と打ち合わせをしました。
弁護士は、Aさんの代理人として、弁護士の名前で、お兄さんのCさんに対して、弁護士が就任した旨の内容証明郵便を送付し、交渉を開始しました。
そうしたところ、Cさんは、憤慨して話し合いになりませんでした。

弁護士は、Aさんに、このような場合は、家庭裁判所で話し合いを行う、調停という手続きを利用したほうが良いとアドバイスをしました。
そこで、Aさんは、遺産分割調停を申し立てたところ、CさんDさんにもそれぞれ弁護士が就任しました。
Cさんは遺産分割調停で「兄弟で分けなければいけないことは分かっている。しかしながら、遺産はこの土地建物しかないので、これをどうやって分けたらいいのか分からない。自分がずっと住み続けた家なので自分が守っていきたい気持ちがある。弟と妹には悪いが、自分が出せるお金はない。」と回答しました。

そこで、土地建物について、不動産会社にて見積を出してもらい、不動産価値を査定することとしました。
Cさんは、当初、不動産を売却することに抵抗を示していました。しかし、不動産が5000万円で売却することができるとわかると、対価を支払って自分名義にする余力がないと分かり、諦めたようでした。最終的には、売却資金から経費などを差し引いた4800万円を三等分にして1600万円ずつ分けるということで合意できました。

Aさんは、法律事務所に交渉を依頼したことによって、「1600万円を取得する」という、Aさんにとって望んでいた条件で最終合意することができました。
また、弁護士に交渉を任せたことによって、Aさんは、自身で交渉を行うストレスを感じることなく、親族と協議することができました。

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